「一言で言うと面白みがないの。あなたは自分に自信があるようだけど、それは外見だけでしょう?内面は何かに興味を持ったり突き詰めて考えたりしないわよね?一緒に過ごしてみてそれがわかったの。これから一緒に生きていくなら私には致命的だわ」

面白みがない?
中身のない人間だってこと、か?

「俺は外見だけの男…?」

「そうね」

「言っちゃ悪いがそれなりに学もあるつもりだけど?」

「勉強ができるできないを言ってるんじゃないの。人としての幅を言ってるのよ」

「幅がない…のか?」

彼女は静かに頷いた。

「なら今から幅を身に着ける。それじゃダメなのか?」

「私に言われてやるのでは意味がないの。そういうのは人に言われて身に着けても仕方ないでしょう。自らが切望して身に着けるもの。そうでなければ身にも着かないわ」

「結局君はどうあっても俺と別れたいだけじゃないのか」

「どういう意味?」

「他に…好きな男でもできたか?」

咄嗟に出た表情は俺の言葉を肯定するものだった。
すぐに隠したつもりだろうが俺にはわかる。

「短絡的思考すぎるわね」

「普通はそうだろ。いきなり別れてくれって言われたら誰でもそれを疑うんじゃねーの?」

「そうだとしても。その原因を作ったのは間違いなくあなたよ。あなたが私を失望させたりしなければそうはならないわ」

「認めるのか?」

「何を?」