俺から目を逸らし、店主はどこか遠くを見つめるような眼差しになる。

「それは…アンタの言うとおりだ…。だがな、なかなか抜け出せないこともある。簡単にはいかんのだよ…」

「簡単にいくとは思ってません。でも…彼女の苦しみを解消してあげたい。俺は…そのためならなんだってします」

店主に話しているうち、迸るような熱い思いが身体中に漲る。
胸が…熱い。
経験したことのない高揚が俺の全身を支配する。

「お願いします。どうか…俺が彼女に近づくのを許してください…」

そう言って頭を下げた。
店主の次の言葉が拒絶するものでないことを願う。

「はぁ…」

大きなため息。
やはりダメなのか…。

「アンタも相当しつこいの…」

「申し訳ありません…。でも…人生、譲れることと譲れないことがあると思います。彼女のことは…どうしても譲れないんです…」

「アンタが本気で雪穂を想ってくれてるなら…それを証明して見せてくれ」

「証明…?」

「何があっても逃げないと…あの子を守り抜くと…約束できるか?何があっても、だぞ?」

俺の気持ちは揺るぎはない。
何があっても…逃げない。

「約束します。俺のすべてをかけて…彼女を守ります…」