やっぱりそうか。
あの女以外に傘を貸してはいないのだから疑う余地はない。

だが、敢えて確認する必要はあったのか。
ただ、「返してくれたんだ」で終わればいいだろうに。
俺自身も気付かなかったが、実は本心ではあの女の異様な姿の意味を解読したいとでも思っているのだろうか…。

解読してどうする?

関係ないと結論づけたろ?

ならなんであっさり退かないんだ?

自問自答を繰り返したってなんの進歩も在りはしない。
こうやって、関係ないと思って疎外したくてもそれが叶わないのであれば。

こっちからアクションを起こしてみるか。

認めたくなかろうがどうだろうが、俺はあの女にある種の興味を抱いているのだ。
自分とはかけ離れた、まるで接点のなさそうな女なのに。
完全に忘れ去れないでいる。

思い出のように甘ったるいもんじゃないから。
直接関わって、嫌気がピークに達すれば断ち切ればいい。

むしろ断ち切る目的で、こちらから関わるのはアリだ。