女と再会した翌週。
朝出勤した会社のロビーで受付嬢の一人から声を掛けられた。
「あの!加賀見さん!」
閑散としたロビーに響く大声は俺でなくても驚く。
出勤してきた他の社員達も振り向いている。
会社ではなるべく目立たないのをモットーにやってきた身としてはこういう状況は誠に面白くない。
面白くないが、気付かぬ振りで通り過ぎるのは最早不可能だ。
周囲の奴らが、誰だ誰だと言わんばかりの顔つきで『加賀見』とやらを探しているのがわかる。
辟易したが返事するしかなさそうだ。
恐らく受付嬢は俺の顔と名前を知っているから声を掛けてきたのだろうし。
今更知らん顔するのはさすがに大人げない。
仕方なく振り向き受付に向かった。
「はい。なんでしょうか?」
「おはようございます。あの、実は今朝守衛室から加賀見さん宛に届け物がありまして」
守衛室からの届け物。予想外のワードに一瞬自意識過剰の己を恥じる。
だがその僅かな動揺を悟られないよう冷静さを保ちながら受付嬢に尋ねた。
「守衛室から僕に?」
「はい。それで守衛の方は度々交替しますし、加賀見さんに確実にお渡しできないかもしれないからと、こちらに持ってこられて」
なるほどそういうことか。
にしても、守衛が俺に何を?
「今お持ちしますのでちょっとお待ちいただけますか?」
「あ…、はい…」
朝出勤した会社のロビーで受付嬢の一人から声を掛けられた。
「あの!加賀見さん!」
閑散としたロビーに響く大声は俺でなくても驚く。
出勤してきた他の社員達も振り向いている。
会社ではなるべく目立たないのをモットーにやってきた身としてはこういう状況は誠に面白くない。
面白くないが、気付かぬ振りで通り過ぎるのは最早不可能だ。
周囲の奴らが、誰だ誰だと言わんばかりの顔つきで『加賀見』とやらを探しているのがわかる。
辟易したが返事するしかなさそうだ。
恐らく受付嬢は俺の顔と名前を知っているから声を掛けてきたのだろうし。
今更知らん顔するのはさすがに大人げない。
仕方なく振り向き受付に向かった。
「はい。なんでしょうか?」
「おはようございます。あの、実は今朝守衛室から加賀見さん宛に届け物がありまして」
守衛室からの届け物。予想外のワードに一瞬自意識過剰の己を恥じる。
だがその僅かな動揺を悟られないよう冷静さを保ちながら受付嬢に尋ねた。
「守衛室から僕に?」
「はい。それで守衛の方は度々交替しますし、加賀見さんに確実にお渡しできないかもしれないからと、こちらに持ってこられて」
なるほどそういうことか。
にしても、守衛が俺に何を?
「今お持ちしますのでちょっとお待ちいただけますか?」
「あ…、はい…」