信号が赤に変わり、ゆっくりとブレーキを踏む。
何気なく助手席の窓の外を見ると、公園らしきものがあった。
公園もこんな天候ではその役目を果たしようがないな。

そう思って見ている俺に一瞬衝撃が走った。

公園の入り口辺りに人がいる。
雪が降りしきる中傘も差していない。

バカじゃねぇのか?
あんなところで何やってんだよ。
気でも狂ってんのか?

さすがに死にはしないだろうが間違いなく風邪を引くだろ。

そう思っていると信号が青に変わった。
ブレーキから足を下ろしたとき俺は違和感を覚える。

待てよ…。
あの…立ち姿は、確か…

何故か既視感があるように思えて必死に記憶を手繰り寄せる。

あっ!

あの…女?

まさか…
なんであんな場所に?

でも…
思い出せば思い出すほど似ている。

クソっ!

どうにも気になった俺は交差点を曲がり、元来た道路に戻った。
雪で真っ白なまだ轍のない場所に車をとめる。
自分用に持ってきていたビニール傘を取り、運転席から外へ出た。
公園の入り口にはさっき見た人はいない。

幻だったのか?
そんな…