そうだ。
公用車のタイヤってノーマルのままだよな?
俺は課長に尋ねた。

「課長。公用車はスタッドレスに換えてますかね?」

「ん?あぁ…どうだろうか。総務に聞いてみよう」

課長はそう言ってすぐに内線をかけた。

「営業三課の竜ヶ崎です。公用車のタイヤなんですが、スタッドレスに替えてありますか?……は?あ、あぁそうですか…。いえ、承知しました。ありがとうございます」

なんとなく嫌な予感がする。

課長は受話器を置くと俺を見て言った。

「加賀見くん。タイヤはそのままだそうだ」

やっぱりそうか…。

「すまんな。都内の顧客中心に考えてるようで…」

「大丈夫です。降るとしても夜からみたいですし、早目に切り上げます」

「わかった。気をつけてな」

「念のためスコップをお借りして行きます」

「あぁ、守衛室に連絡しておく」

「ありがとうございます。行ってきます」

課長に挨拶をし、守衛室に向かった。
守衛さんからスコップを貰い公用車のトランクに積んで出発した。