君はまるで雪のように

言いかけた俺の耳元に近づいて達也が囁く。

「今日は特別なんだって。マドンナ降臨すんだよ」

マドンナ?
もしかして…先の学祭でミスコンの優勝者になった女?
まさかな…
達也との接点がみつからない。

「それってもしかして白川(しらかわ)?」

「おっ!お前でも名前知ってるんだ」

「一応うちじゃ有名人だろ」

「でさ、啓子(けいこ)ちゃんがお前も来るなら行ってもいいって漏らしてたらしくてさ」

なんで?
俺はアイツとは面識がない。

「俺はしゃべったことねーけど」

「お前は目立つからなぁ…勝手に知られてんだって。マジうらやましーわ」

「俺が目的ならなにも合コンなんかで接点作らないで直接こりゃいーのにな」

「意外と小心者だったり?」

「まさか。小心者がミスコンなんか出ねーよ。自信があるから出るんじゃねーか」

「そんなのどーだっていーからさ、頼むよ加賀見。なんとか調整してくれよ」

達也は顔の前で両手を合わせて俺に頭を下げた。

ったく…どこまで自己中なんだか。
白川の目的が俺だって話がほんとなら、達也のメリットなんてないじゃねーか。
それとも何か?
いつもみたいに合コンをしらけさせる天才の異名を持つ俺が白川を一刀両断するのを期待してんのか?
俺にコケにされて傷ついた彼女を達也が優しく慰めて…

バカらしい。
そんな茶番に付き合う気はない。

達也の真の目的がなんだろうと俺は俺のやりたいようにやるだけだ。

どうせお高くとまった扱いにくいお嬢様タイプだろう。
自分が女王様でいないと気が済まない。男を侍らせて喜んでる…
うちの母や姉と同じ種類の女…
そうに違いない。