それから半年。
季節は巡り冬になっていた。
暖冬だった近年から一転、今年は厳しい寒さに見舞われるだろうと天気予報で言っていた。
もしかしたら東京(こっち)でも雪が降るかもしれないと。

雪か…。
数年前に大雪が降ったが、あれ以来まとまった雪は降っていない。
滅多に降らないから対策がいつも後手にまわり、道路が渋滞したり公共交通機関が麻痺したりする。
ライフラインも機能しなくなり、一時騒然となる。
今年はきちんと対策を練っておかなければならない。

が…
雪に慣れていないからどうしていいのか、正直わかっていないのが現状だ。

あれからワインバーには毎日とまでいかないながらも月に二、三回は通っている。
オーナーはあの日以来俺には何も言わない。

実際、夢は毎晩ではなくなったものの、時折は見ている。

やはりあの女が出てきて寂しそうに佇んでいる、そんな夢…

もちろん本物には会っていない。
連絡先は元より名前すら知らないのだから会いようがないんだが。

会いたいのかと問われればそれも違う。
俺が勝手に気にしているだけで向こうからすれば傍迷惑な話だ。