君はまるで雪のように

初めてのイベント参加でさすがに疲れた俺は折角の折原の誘いも遠慮して早々に布団に入った。

予定では明日、俺の母親との顔合わせになっている。
それで雪穂は緊張しているようだから早く休ませてやりたかったのもある。

気が付くと寝入ってしまったようで起きて携帯で時間を確認するとまだ真夜中過ぎだった。

少し喉が渇いて、俺は部屋を出てキッチンへ向かった。

キッチンにはまだ灯りがついていて。
入ると折原が一人でビールを飲んでいる。

「あ…加賀見さん…起きちゃったんですか?」

「うん…熟睡できたみたいで…目が覚めたんだな…」

折原は持っていたビールの缶を掲げて俺に見せる。

「一杯やります?」

「いや…」

俺はいい、と言いかけてやめた。

「じゃ、もらうわ」

折原が冷蔵庫から一本取り出し俺に差し出してくれた。

「サンキュ」

「久しぶりにうちのビールですよ」

「たまには飲んでるぜ」

「マジですか?日本酒だけじゃないんだ」

「いくら酒蔵で働いてても日本酒だけしか飲まないわけじゃないぞ?」

「それより…明日。頑張ってくださいね」

明日雪穂と親を会わせる予定だと折原にも話してあった。

「まぁ…形式的にサッサと終わらせるさ」

「できますか?」

「お前には迷惑かけたから…アレだけど…あの人達も随分大人しくなったし大丈夫」

「なら…いいですけど」

しばらく無言でビールを飲みながら折原はこれからどうするのだろうと余計なことを考えてしまう。
どうしても…不毛な恋を諦める気はないのだろうか、と。

自分が幸せだと他人の不幸はわからないと言われるけど。
俺には目の前のコイツが酷く辛そうで苦しそうで。
放っておけない。