漸く暖々に到着したころにはとっぷりと日が暮れていた。

今日は俺たちが来るから店を臨時休業にしてくれたらしい。
なんだか申し訳ない思いになる。

到着を今か今かと待ってくれていたのだろう。
バンを止めると中から店主が躍り出てきた。

「おぅ!雪穂っ!加賀見くん!」

「おじさんっ!」

雪穂は助手席から飛び出して店主に抱き着いている。

いくら懐かしいからって…抱き着くのはどうかと思いますけど…。

殺意のこもった俺の視線に気付いたのか。
店主が慌てて雪穂を引きはがした。

「雪穂。加賀見くんがエライ怒っちょうがの」

「え?…あ…ごめんね。つい、懐かしくて…」

「…わかるけど…抱き着くのは…ナシッ!」

「はい。ごめんなさい…」

俯く雪穂にそっと耳打ちする。

「ごめん…俺こそ…余裕なくて…誰にでも嫉妬しちゃって…」

雪穂は笑顔で俺を見上げている。
そんな俺たちのオーラに当てられたかのように店主が言った。

「いやぁ…よかったの…。加賀見くんの気持ちが通じて…」

「ち、ちょっと!泣かないでくださいよ!」

「そうはいうても…こんな嬉しいことはないけん…」

「おじさん!荷物たくさんあるんだから。手伝って!」

雪穂に一喝され。
店主…高橋さんは涙を拭って荷台から商品を下ろすのを手伝ってくれた。