君はまるで雪のように

「これで全部積んだかぁ?」

頭の岩田さんが皆に大声で確認している。

「はい!積み終わりましたぁ!」「終わりました!」

配達用のバンに商品を積み込んでくれたのは蔵の若手の二人。
門脇と真瀬。

荷台のドアを閉めて真瀬が俺に囁く。

「気ィつけてな…」

「うん。ありがとな」

色々あった真瀬と俺だったが。今はいい相棒となっている。
立場的には俺が下だけど。
真瀬は俺の仕事振りには敵わないと言って俺を立ててくれるようになった。

ここを担って行くと決意しているから。
ハンパなく頑張れるだけ。

「親方に…挨拶して来ます」

母屋に入ると雪穂が玄関先で待っていた。

「待たせてごめんな。今積み込み終わった」

「ううん、大丈夫」

「親方に出発の挨拶だな」

俺と雪穂は親方の部屋の前でいつものように正座をし、首を垂れて声を掛けた。

「親方…。出発前のご挨拶を」

「入り」

スッと襖を開け部屋に入り、後ろの雪穂に目配せする。

頷いた雪穂の笑顔が、一瞬の隙間で俺に色んな思いを彷彿させた。

ここまで快復してくれて、笑顔を取り戻してくれたこと。
俺との未来を、描いてくれていること。

まだ時々不安に襲われることがあるようだけど。
そのときはいつも俺が傍にいて、不安を払拭してあげればいい。
もう二度と雪穂が苦しまないように、悲しまないように、その笑顔を曇らせないように。

俺はずっと傍にいて。
守るから。
守り抜くから。