会議室に移動して経緯を説明すると課長は大笑いしながら言った。

「加賀見くん。若いっていいなぁ」

「課長…笑いごとじゃないんです」

「わかってる、わかってる!まぁ、そんなに気負いなさんな。そのS商事の本条さんからの電話は繋がないように通達しとくから。それ以外に何かしてくるようならその都度考えりゃいい」

「プライベートなことでご迷惑をお掛けして、申し訳ありません…」

「いいって。俺にはそんな悩みは経験ないから逆に羨ましいよ」

「勘弁してください…」

「大丈夫だ。今までどおり気合い入れて頼むぞ?」

「かしこまりました…」

課長が神経質な性格じゃなくてよかった。
会社への攻撃はさすがにないだろう。
彼女もそこまでバカじゃないと思う。

俺はこのまま普段通りの生活をするしかないが…
念のため周囲の様子には警戒しておくべきだな。

それにしても…本条といい、こないだのぶち切れ女といい。
S商事には程度の低い女子社員しかいないのかと疑いたくなる。

女運が悪いのはどうしようもないかもな。

とにかく。
気にしていても仕方ない。
俺は何も悪いことはしていない。
堂々としていればいいんだ。