「やはり…そう思いますか？」

「はい…なんとなく気になって俺も色々探ってみたんですよ。彼女、彼氏はいないってのはほんとらしいです。でもその…社内でも相当男に色目使ってるらしくて。こないだ一緒に来てた他の子達も、本音では彼女をよく思ってないみたいです」

「はぁ…やはりそういうタイプでしたか」

「見た目が結構可愛いからそれなりにモテるみたいですけどね。本人は理想が高いとかなんとか豪語してるらしくて。Ｓ商事にもたくさんエリートはいるんでしょうけど、加賀見さんもロックオンされちゃいましたね」

「恐らくストックの一人でしょうね。その中から一番好条件の男を選ぶんですよ」

「怖えぇ…」

「俺は男ですから…恐怖はありません。でも…仕事の邪魔をされるのだけは困りますね」

「けど食い止めようがないですよね。電話は繋がないでもらえばいいかもしれませんが…」

「とりあえず課内の人間を巻き込む可能性がありますから課長に相談します」

「俺の名前出してもらって構いません」

「必要と判断すれば、ですがそれまでは言うつもりはありませんよ」

折原と別れて俺はフロアに戻り課長に声を掛けた。
課長は恰幅のいい中年で仕事のやり方もその体型に比例して豪快だった。
仕事はできるし部下の面倒見もいい上司だ。