気分が滅入る。
どうにかして転換しようと席を外し自販機コーナーへ向かった。
神経をまともに戻すため、ブラック缶コーヒーを買う。

スツールに腰かけて一口飲むと少しだけ落ち着いた。
折原に言わなきゃな。
アイツが心配していたことが現実になりそうで憂鬱だった。
そのときタイミングよく折原の姿が見えた。
エレベーターから出てきた彼を咄嗟に呼び止める。

「折原さん!」

俺の声に振り向くと折原はこちらへやってきた。

「お疲れ様です」

「お疲れ様。ちょっと今、いいですか?」

「はい…どうかしました?」

「例の…かおりちゃんって子。苗字はもしかして本条さんですか?」

「え…?ああ、そうです。って…もしかして…接触してきました?」

「はい…。さきほど社に電話がかかってきました」

「マジですか…」

折原に電話の内容を話すと困惑顔で俯いた。

「嫌な予感はしてたんですよ。なんか彼女、加賀見さんばっか見てたし俺にも色々聞いてきてたんで。けどまさか会社に電話かけてくるなんて…しかも携帯の番号教えてなんてちょっと度を越えてますよね」

「一方的に通話を終わらせたので…きっとプライドが傷ついているでしょうね」

「うわ…それはちょっと…ヤバいかもしれないですね」