君はまるで雪のように

『章悟…』

姉に二の句を継がせないよう遮る。

「ごめん。やっぱちゃんと顔見て話しさせて。家、行くわ」

『章悟…ホント?』

「嘘でこんなこと言うわけないだろ」

『だってアンタさっきまであんなに…』

「気が変わった」

『…そう…、それなら…明日…うちに来れる?』

「ああ」

午前中に家に行くと姉と約束した。
本音を言えば忌々しい。
いい思い出なんてひとつもない家だから。

でも雪穂と約束したから。きちんとケジメをつけて彼女の元に戻るために。

折原に報告する為彼の部屋のドアをノックした。

出て来た折原に俺の決意を聞かせた。

「加賀見さん…いい顔してます…」

「そっか?」

「頑張って、ください。彼女のために」

「…うん…。ありがとな…」

「何時になっても大丈夫なんで、合鍵持って行ってくださいね」

「悪いな。助かる」

そして俺は翌日。
何十年振りに実家へと足を運んだ。

高級住宅街のひとつと言われるだけあって相変わらず瀟洒な家々が立ち並んでいる。
その中で一際目を引く白亜の豪邸。
それがうちだ。

駐車場には父親用の外車と。
母親用の国産車。
そして姉のダンナの車。なぜかコイツは軽自動車なんだけど。
昔からこの軽自動車は白亜の城とはかけ離れ、一台だけ浮いてると思ってたが。
今もやっぱり周りの景色に馴染んでいないように思えた。

鍵がかかっているのが当たり前のこの辺りは防犯に力を入れている。
所々に防犯カメラが確認できる。

それを見るたび、雪穂の実家の辺りの無防備さを思い出し勝手に頬が緩んだ。