折原の予想が当たったのは合コンからすぐだった。
いきなり課に電話がかかったのだ。

「加賀見さん、一番に外線です」

「はい」

女子課員から言われた俺は受話器を取り一番のボタンを押した。

「お電話かわりました。加賀見です」

『あの…本条です。S商事の…』

S商事のホンジョウ?
えーっと…得意先にはS商事はなかった気がするが…

「え…っと、ホンジョウ、様…」

それを言っただけで後の言葉が続かない。
記憶の糸を必死に手繰り寄せてもまったく思い出せない。
どこか得意先からの紹介で掛けてきたのか…。

『あの…先日プチマルミットというお店でお会いした…本条です』

プチマルミット?
あっ…あれか…
折原と行った合コンだ。
けど…ホンジョウって…
どんなヤツだったかな…。

ヤバい。マジで記憶にない。