コイツがここまで辛辣な物言いをするのを初めて聞いた。
それくらいアイツらの行状は酷いってことだ。

「お前や会社に迷惑をかけたのは申し訳なかった」

「悪いと思うなら。ご自分で解決してください。あのお二人は納得されてないご様子でした。だからもしかしたらまた会社に来るかもしれません。なんせそこしか加賀見さんとの接点がないんですから」

「そんな理不尽を続けるなら訴えてもらっていい」

「それはできません」

妙に断言する折原に違和感を覚える。

「そういうのは広報の仕事かもな。クレーム対応とか。だからお前が直接訴えなくても会社がなんとかするだろう」

「これは。この問題は。加賀見さん本人が動かないと解決しないんですよ。なんでそれがわかんないんですか?他力本願で解決できるわけないでしょう」

そんなことは…わかってんだよ…。
わかっててもアイツらと関わりたくないっていうのが俺のワガママだってのも。

「…加賀見さん…。彼女とうまくいってんすか…?」

は?いきなり方向転換か?
にしてもなんで彼女?
店主がそこまで…
話したんだろうか?

折原は俺の顔色が変わったのを見逃すようなヤツじゃない。
得意の口八丁が。
容赦なく発揮された。

「言っときますけど、暖々の店主からは何も聞いてないですよ。加賀見さんを見ていれば様子がおかしくなってたのはわかりますから。だってそうでしょう?ワインを嗜める店しか行かなかった人が急に居酒屋。それもかなり遠方の。それだけでもかなり変でしたよ」