血相変えたつもりはなかっただけに、折原に言われた内容がなかなか頭の中で解析できないでいた。

「そう…見えましたか?」

「はい…。あんな加賀見さん初めて見ました…」

結局俺とあの女のせいで場は完全にしらけてしまい、鳴り物入りだったはずの合コンはお開きになってしまった。

帰り際俺は折原に謝った。

「申し訳ありません。折角皆さんが楽しみにしていたのに…」

「いいですよ…。俺は元々どうでもよかったし。他の二人はなんかお互い気になる子にメルアド渡せたみたいなんで。そんなにマズくはないですよ」

「それなら…いいんですが…」

「あ…でも…香織ちゃんが…今日の幹事の子なんですけど。加賀見さんについて俺に根掘り葉掘り聞いてきました」

「折原さんがしゃべるほどの情報はないでしょう?」

「そうですけど…彼女はいないって言っちゃいました…」

「事実だからいいですよ。もっと言うならいないのではなくていらない、んですけどね」

「もしかしたら…接触してくるかもしれません」

「面倒なタイプなんですか?」

「いえ…結構モテる子なんだけど、彼氏いないっていうのも胡散臭いし…。加賀見さんが変なことに巻き込まれなきゃいいんですけど…」

「大丈夫ですよ。その辺はうまく捌きます」

昔とった杵柄…とまではいかないが。
なんとかなる。
そのときの俺はそこまで深く考えずにそう思った。