まぁ…一般人から見たらあの二人は相当ぶっ飛んでるだろうな。

成金が金に飽かして着飾って。
ド派手この上ない。
さり気なく高級品を身に着ければ上品なのに、目立ちたがり屋だからそうはいかないんだ。

けど妙だな。大学を卒業して会社に就職してからはあの二人と完全に断絶していたのに。

なんで俺の就職先がホテイビールだってわかったんだろう。

「折原、俺どうにも不思議なんだが。俺の勤め先がホテイだなんてアイツらに一言も言ってねぇよ。なのになんでわかったのか…。その上いきなり会社に来るなんて無様な真似を…」

「それなんですけど。どうも興信所で調べてたって言ってましたよ。加賀見さんが大学卒業後連絡を絶ったころからずっと。でも会社を辞めた後がわからないとかなんとか…」

あちゃぁ…そんな恥ずかしい家庭の内情までペラペラと…

「それって。皆の前でか?」

「…はい。三課のシマで…ちょうど皆出社してきたばっかでまだ外回りにも出てなかったんで。タイミング的にはほぼ全員がいました…」

最悪だ…。朝っぱらから迷惑この上ない。
俺が立つ鳥跡を濁さず、の状態で退職したってのに。
アイツらの愚行のせいで全部ぶち壊しじゃねぇか。

「悪かったな…」

「いえ、それはもういいんです。焦った竜ヶ崎課長が会議室に移動させましたんで…。それで…加賀見さんと少しでもプライベートで交流のあった人間が何人か呼ばれたんですよ」

「マジか…」

「ええ。でも加賀見さん、あんまり手広く付き合ってなかったでしょ?結局呼ばれて行ったのは俺と…一課の伊藤だけだったんです」

伊藤…
伊藤、晴彦くんか。
婚約者に記念になるワインをプレゼントしたいと言って折原が俺を紹介した。
折原の同期の。