「驚きました?」

「だな」

とは言ったものの。
あの二人の破天荒な言動には免疫がある。
だから一般常識では考えられないようなこともさもありなん、と思える。

今でも二人揃って奇行を繰り広げているのには呆れるけれども。

「何しに来たか、聞かないんですか?」

「聞かなくても大体わかる。俺の居場所教えろとかなんとか、言って来たんじゃねぇの?」

折原は小さく「えッ」と驚きの声を出した。

「図星だな。まぁ…アイツらとは長い付き合いなんでな。やることは大抵お見通し」

「そうなんですね…」

「でもわざわざこんな遠くまで来てくれたっていうのは。アイツら他になんかやらかした?」

「ええまぁ…。ちょっと驚くような、ね…」

ハァ…
マジで勘弁してくれよ…。会社なんてなんの関係もねぇだろーが…。

そこで注文した料理が運ばれてくる。

適当に頼んだ定食だったがその量も内容もかなり豪勢で。
向かいの席の折原は相当驚いている。
こっちの店は大抵どこもこんな感じだから。それに随分と慣れた俺は驚く必要がなくなった。

「あ、旨い…」

折原は早速箸をつけている。
俺も食べながら続きを待った。

「なんか最初は、加賀見さんと連絡取れないからなんとかしてくれって。その…総務とか人事とかに電話があったらしいんですよ。でも加賀見さんは既に退職してますし。家族なら直接連絡取ったらどうですかって担当者は言ったらしいです。そしたらいきなり会社に来て、しかも営業のフロアに勝手に…」

ヤバい。ヤバすぎる。
ほぼ犯罪者レベルじゃねぇか。

「守衛に捕まらなかったの?」

「守衛さんも何人か追っかけて来てましたけど…。なんていうかその…すごい迫力ですね?お二人とも…」