俺の言葉に嘘偽りはない。
人生をやり直すと決めた時点で何もかもを清算したんだ。

当然世話になった人にだけはきちんと挨拶した。
挨拶はしたけど行き先までは告げていない。
まだ東京(あっち)に住んでると思っている人もいるかもしれない。

携帯に登録している連絡先も全員のを削除したわけじゃない。
まだ残しているのだってある。

でもその人達にこっちから連絡したことはないし、相手側からも連絡はない。
俺の覚悟のほどをちゃんと伝えていたから理解してくれたと思ってる。

「わかった。お前がそこまで言うのなら無理にとは言わん。だがな。休むのも必要なんじゃ。修行はまだまだ続く。最初から飛ばさんがええ」

「それはわかります。わかりますけど…俺は一日でも早く皆さんの役に立ちたいんです…」

「それもわかった上で言うとる」

「とにかく…ここに居させてください…。ダメと言われるなら…仕事はしなくてもいいですから…」

最後は涙声になった。
頼むから。
俺から居場所を奪わないでくれ…。
雪穂の居場所だけではなく。
ここはもうすでに…俺にとってもかけがえのない場所になっているのだから。

「お前も相当きこだの。まぁええ。ほんなら畑をやり。今から土を耕して種を植える前段階の作業もああけん。まずは土を肥やさないけんからな。畑は船頭の中田がよう知っとるけん。あれに聞けばええ。ワシからも言うておくけん」

「わかりました…。ありがとう…ございます…」