そして一夜が明け。
俺はいつもどおりに仕事に向かう。
昨日は特別に休みをもらってしまった。
警察署に泊まるなんていう稀有な経験をしたものだから、この休みはありがたかった。
更衣室に入るとちょうど追廻の二人、迫田と門脇が着替えをしている最中だった。
俺は何事もなかったかのように挨拶する。
「おはようございます」
二人がギョッとしたように俺を見る。
が、気付かぬ振りで作業着に着替えた。
朝礼が行われるところに行くと。
今日は親方も来ていた。
真瀬もすでに並んでいる。
俺の後から来た迫田と門脇が並ぶのを待って、親方が口を開く。
「おはよう。今朝はワシから業務についての通達がある。追廻の迫田と真瀬を本日から道具廻しにやる。それから道具廻しの板倉と神崎は炭屋。炭屋の宮崎と坂元は船頭、船頭の岡田と前田が釜屋、釜屋の桑田は酛屋。酛屋の石崎は麹屋にそれぞれ昇格とする」
シンと静まり返る蔵内。
誰も親方に質問すらしない。
「それから。ワシもこれからは毎日とまではいかんが蔵に顔を出す。今まで以上に精出してやってくれ」
これには各々が小さな声で「はい」と返した。
親方が「じゃあ、岩田、後は頼む」と言い残し蔵を出た。
頭の岩田が発言する前に声を出したのは。
真瀬だった。
俺はいつもどおりに仕事に向かう。
昨日は特別に休みをもらってしまった。
警察署に泊まるなんていう稀有な経験をしたものだから、この休みはありがたかった。
更衣室に入るとちょうど追廻の二人、迫田と門脇が着替えをしている最中だった。
俺は何事もなかったかのように挨拶する。
「おはようございます」
二人がギョッとしたように俺を見る。
が、気付かぬ振りで作業着に着替えた。
朝礼が行われるところに行くと。
今日は親方も来ていた。
真瀬もすでに並んでいる。
俺の後から来た迫田と門脇が並ぶのを待って、親方が口を開く。
「おはよう。今朝はワシから業務についての通達がある。追廻の迫田と真瀬を本日から道具廻しにやる。それから道具廻しの板倉と神崎は炭屋。炭屋の宮崎と坂元は船頭、船頭の岡田と前田が釜屋、釜屋の桑田は酛屋。酛屋の石崎は麹屋にそれぞれ昇格とする」
シンと静まり返る蔵内。
誰も親方に質問すらしない。
「それから。ワシもこれからは毎日とまではいかんが蔵に顔を出す。今まで以上に精出してやってくれ」
これには各々が小さな声で「はい」と返した。
親方が「じゃあ、岩田、後は頼む」と言い残し蔵を出た。
頭の岩田が発言する前に声を出したのは。
真瀬だった。