奥まったテーブル席に男女向かい合って座る。
なるほど、折原の言っていたとおりなかなかハイレベルなのはわかった。
問題は外見ではなく中身なんだが。
そもそも俺の目的は飲食であって女漁りではないから関係ない。

互いの自己紹介が始まっても俺の興味は専らワインと料理だけだった。

適当に相槌を打っているだけでまともに話をしない俺に、次から次と席を移動してくる女たち。
そろそろご遠慮願いたくなった俺は、お決まりのワインの蘊蓄を語り始めた。
思惑が見事に的中し、俺の蘊蓄に辟易した女たちは一人、また一人と元の席に戻って行った。

ふぅ…これでやっと食事を堪能できる。
そう思った矢先に意外な横やりが入った。
俺の目の前に座っている女が俺を凝視している。
視線に気付いた俺はコイツも蘊蓄で蹴散らしてやろうと思い顔を上げた。

俺の視界に映った女は…
熱い視線ではなく敵意のこもる視線を向けていた。

なんだ?コイツは…
めんどくさそうなヤツは無視するに限る。