「昨夜、中上酒蔵の杜氏から連絡がありました。あなたが犯人だと証言した二人の従業員が、嘘をついていたことを認めたそうです」

親方が…

「それから私が二人別々に事情聴取しまして。被害者の真瀬さんにも別の者が聴取に伺いました。結果、加賀見さんは冤罪だと確定しました」

「あの…門脇さんは…」

「彼が真犯人だと認めました。ただ…被害者が被害届を取り下げましたので本件は事件性はなく、示談となりました」

やっぱり真瀬はただ俺を陥れたかっただけだったんだ…。

「加賀見さん。色々事情があるとは思いますが、真瀬さんには厳しく注意をしました。個人的なことでお上を利用するなど、あってはならないと。我々は国民の税金で動いています。誰かをはめるために警察を利用するなど言語道断、と。もし、今後同じようなことをしたらただでは済まないと話しておきました」

「すみません…」

「謝るのはこちらです…。むしろあなたは被害者です。警察の杜撰なやり方を訴えてもいい立場です」

「俺は…無実だとわかってもらえたらそれで…」

「加賀見さん…。私もこちらの出身ではありません。来た当初は信じられないことの連続でした。でも、真面目に生きていれば必ず理解者が現れます。現に中上酒蔵の杜氏は…最初からあなたは冤罪だと主張していらした」