君はまるで雪のように

連れて来られたのは一時預かりの部屋。
所謂留置場と呼ばれる部屋だ。

部屋と呼ぶにはおおよそ似つかわしくない鉄格子が嵌められているが…

看守は俺を中へ押し出すように入れるとすぐに施錠した。

ここにいるうちは外への連絡は不可能だ。
俺はどうすれば冤罪だと認めてもらえるのか、考え始める。

いずれにしても虚偽の証言をした二人をなんとかしなければならない。

恐らく迫田は。
門脇が真犯人だという事実を隠したいのだろう。だから俺に無実の罪を着せようとしている。
どんな理由だろうとしていいことではない。

だが。
どうやって偽証を覆す?
事情を説明すらできない現状では甚だ困難じゃないか。

きっと明日も取り調べが行われるだろう。
とにかく弁護士を呼んでもらい、それまでは黙秘権を行使するしかない。

冷え切った部屋で煎餅布団に入ってみるが、とても眠れそうになかった。

今頃、親方はどうしているのだろうか。
俺が真犯人だと思っているのだろうか?

まさか…
親方にまでそう思われているなら…
なんとか保っている精神の均衡が崩れてしまう。
そして万が一雪穂の耳に入ってしまったら。
それが一番怖い。
彼女が俺を信じてくれるかどうか。
考えるのも恐ろしい。

田舎の人間の言うことを信じるのか。
それとも…
俺の言うことを信じてくれるのか。

信じて欲しい。
少なくとも今まで俺は。
誠心誠意彼女に向き合ってきた。
それが彼女にも伝わっていると…
信じたい…。