「ほんとは…俺は惚れてます…」

「おおっ!やっぱそげだったか!」

嬉しそうに言った宮崎に合わせ、他の皆も興味津々といった様子だ。

「でも!雪穂さんは全然…その気がないみたいなんで…。どうかこの話は雪穂さんにはしないでください」

「そげか…。お嬢さん、満更でもねかと思っちょったが…」

そこで道具廻しの板倉が口を挟む。

「そりゃなかなかすぐにはいかんだろ。あんなことがあったんだけん」

「おい!板倉!滅多な話するでない!」

頭の岩田が一喝すると、皆はしまったという表情で一気に黙り込んだ。

「か、加賀見、今の話は…その、聞かなかったことにしてくれの…」

申し訳なさそうに板倉が囁く。

「大丈夫です。雪穂さんの昔の話なら…聞いてます」

「えっ?」

「彼女に告白して玉砕されたときに…聞いたんです…」

「そげか…」

皆は一斉に俯いて暗い雰囲気になった。

「でも俺は…。そんなの関係ないと思ってます…。過去は過去ですから。全然気にならないです」

「……」

沈黙が続く中、俺は誰に言うとでもなく呟く。

「俺が片想いしていることで雪穂さんには余計な負担をかけたくないんです。だから告白はしましたけど…事務的に接してます。これからも…そのつもりです…」