母屋から離れに戻る。
たった数メートルの距離だが痛いくらいの寒さが体に突き刺さる。

玄関を開けて寝室に入ると覚悟していたほど寒くはなかった。

あれ?
見ると布団から離れたところにストーブがあった。
ストーブなんて、なかったのに…

俺が風呂に入らせてもらっている間に用意してくれてたのか。

まさか彼女が?
またこんな重いものを運んで…

とりあえず髪を乾かしてしまおう。
ドライヤーで髪を乾かし、喉を潤そうと台所に向かった。
テーブルの上に見慣れない紙があるのに気付く。

これは?

見るとそれは雪穂からのメッセージだった。

『加賀見さん、今日はお疲れ様でした。寒いのでストーブを用意しました。エアコンは乾燥するので冬場はこのストーブを使ってください。灯油は玄関にタンクが置いてあります。乾燥を防ぐ為に水を入れたヤカンをストーブの上に置いてもいいです。危ないのでお布団からは離してあります。あまりストーブを近づけないように注意してくださいね』

やっぱり雪穂だったんだ。
ストーブと灯油の入ったタンクと。
重たかったろうに…
俺のために…申し訳なかったな…。

こっちの寒さに慣れてない俺のために心を砕いてくれる。
俺のわがままで彼女にも負担をかけてしまった。

でも待っててくれ。
二度と君がここに居辛くならないようにするから。
君が愛してやまないこの場所を
俺がこの手で守るから。