先程食事したスーパーの隣にあるホームセンターにやってきた。

「ここで大抵のものは揃うと思います」

俺は必要なものを購入して、再び彼女の車に乗り込んだ。

そのまま隣のスーパーにも行くのかと思っていると、彼女は元来た道を戻っている。

「あれ?スーパーには寄らないんですか?食材も買わないと…」

「食事は…母屋で父とあたしと一緒にするように…と…」

「えっ…」

「父が…そうしなさいと、言っているので…」

さっき炊事はできるのかと聞かれたから、てっきり自炊するものだと思っていた。
どうして父親は急に気持ちを変えたのだろうか。
まさか俺を認めたわけではあるまい。
それならばむしろ、俺という人間を見定めるために…?
一緒に食事するだけで俺のことがよりわかるのか…。

もしかすると修行の件だけでなく、彼女にふさわしいかどうかも…
見極めるつもりなのかもしれない。

これは考えようによってはラッキーだ。
俺という人間を見てもらって。
判断してもらえばいい。

変に自分を作るつもりはない。
ありのままの俺でいればいい。

「加賀見さん…ごめんなさい…」

「…なぜ…謝るんですか?」

「父がすべてを決める…。そういう家なんです…」

「別にいいんじゃないですか?家長なんだから」

「でも加賀見さんは…都会で育って、田舎の風習に慣れていないでしょう?色々…理解できないこともあると思うんです…」

「郷に入れば郷に従え、ですよ。理解できないこともあると思いますが、それも俺が望んだことなんで。それよりも…俺が望んだことで雪穂さんが辛くなられるほうが、俺にはキツイです…」