運ばれてきた丼を見て驚愕する。
肉が…
丼から溢れんばかりに、はみ出さんばかりにこれでもかとのっかっている。

「すげぇ…」

「でしょう?」

そう言う雪穂の丼も、魚介類が溢れそうだ。

「そっちもすごいボリュームだ」

「いつも食べきれなくて残すんです。申し訳ないんですけど…」

「俺が食べてあげますよ」

「えっ!」

「あ…食べかけが嫌なら、先に少し取りますか?」

「は、はい!」

雪穂は真っ赤になって丼から魚介類とご飯を小皿に取り出している。

かわいいな…。
俺は食べかけでも全然平気なんだけど。

そんなことを思いながら箸を進める。

旨い…。肉は分厚く切ってあるのにとろけるように柔らかい。

「旨いですね…」

肉を掻き分けて下にあるご飯を頬張る。

おっ…と…
肉も然ることながらこの米はなんだ?
甘い?

あの店主の店で食べたのとほぼ同じだ。

雪穂は俺の心が読み取れたのかしたり顔で言った。

「おいしいでしょう?」

「いや…マジで肉も米も最高ですね…。米は、おじさんの店でも思ったけど…」

「こちらは寒暖差が激しいので米作りに適した土地なんです。県内色んな場所でお米は作られていますが、中でもここのお米はブランド米として知る人ぞ知るお米なんですよ」

なるほど。
ブランド米になるに足る旨さだ。