彼女がどこへ行くつもりなのかわからない。
が、土地勘ゼロの俺はついていくしか道はない。

「あの…俺、ちょっと腹が減りました。雪穂さんは?」

「そう言われてみれば…ちょっと空きましたね」

新幹線の中で弁当を食ってから結構時間が経っている。

「ここから歩いて…二十分くらいの場所にスーパーがあるんです。そこに食堂がありますけど、そこでもいいですか?」

「どこでもいいですよ」

「田舎のスーパーと侮るなかれ、なんですよ。そこは」

「そうなんですか?」

「はい。お肉は地元の和牛やブランド豚ですし、お魚は隣県の港で水揚げされてすぐの新鮮なものを使ってます。ボリュームもありますし」

「なんだか急に腹減ったなぁ…」

「フフ…急ぎましょうか」

俺と雪穂は少し早足で歩く。
田舎のスーパーと思っていたが結構デカイ。

中に入ると雪穂はスタスタと奥へ向かう。

食品売り場の鮮魚コーナーの横に屋号が書かれた暖簾の店があった。

入ってみるとよくある食堂。
蕎麦屋みたいな感じだ。

メニューを開くとその品数の多さにまず驚く。食材はいくらでも調達できるスーパーだからさもありなんだ。

「あたし、海鮮丼にします」

「俺は焼肉丼で」

腹減ってるからガッツリ食いたい。