でもだからって。
経験がないからと端から諦めるのだけは嫌だ。
誰だって未経験なら初めてで当たり前。
やる前にできないと決めつけられるのは甚だ心外なのだ。
真のやる気を出せば。
やれないことはない。
俺はそう信じている。

だから修行も俺の努力だけがものをいうはずだ。
元夫が口先だけで終わったから、彼女が俺も信じられないのはわかる。
でも一番の違いは。
ソイツと俺は違うと思うのは。

多分彼女に対する愛情。迷いのない気持ち。
それに尽きる。

信じてもらえるためなら何だってする。
だから。
俺をこのまま拒まないでくれ…。
俺はそう胸の中で切望していた。

祈るような思いで彼女を見つめる。
その表情は困惑なのか、それとも…
少なくとも歓喜の表情ではない。

それが俺を奈落の底へ突き落とす。
ダメで元々と楽観的に考えてみてくれないだろうか…。
俺という男に、賭けてみてもらえないだろうか。

いや…
一度傷ついた彼女だからこそ博打はできない。
今度またダメなら立ち直れない。店主もそう言っていたじゃないか。
でもどうすれば、どう言えば彼女に信じてもらえるのか。

これはもう。
すべてを擲って彼女の地元に行くと言うべきではないのか。