「こいつらになら、俺様のこと話しても構わないぞ」
「しゃ、喋ったーっ!」
 三人の叫び声にミケ太は鬱陶しそうに片目を閉じると、片耳をピクピクと動かした。
「あー、うるさい。俺様だって話くらいするわ」
「猫は喋りません!」
 ナカさんの言葉にミケ太は作太郎の腕からぴょんと飛び降りると、開け放たれた窓へと向かう。
「どこに行くんだい?」
「散歩。作太郎、今回の件はにぼしで不問にしてやらぁ。俺様が戻るまでに用意しておけよ」
「はいはい」
 ミケ太はそう言い残すと窓から外へと出て行ってしまった。その様子を作太郎は苦笑いで見送る。ミケ太と作太郎のあまりにも自然すぎるやり取りを見ていた三人は、ミケ太の気配がなくなると作太郎を見やった。
「話して、くれるよな?」
 ナカさんの神妙な表情に、作太郎は困ったように笑うと、
「珈琲、作ってくるよ」
 そう言って一度裏へと引っ込もうとする。そんな作太郎の背中にナカさんは、
「逃げるなよー?」
 そう呼びかけるのだった。