式の興奮がさめやらぬ私たちは、四人で二次会をすることにした。新郎も新婦もいない二次会だけど、全員がなんとなく、このまま家に帰る気分ではなかったのだ。
 場所は、響さんのバー。

「お酒は作るけど、おつまみは作らないわよ。各々、コンビニで好きなものを買ってちょうだい」

 と言われたので、チーズやポテトチップスなどを買った。お腹はすいていないけれど、飲んでいるとだんだんつまむものが欲しくなってくるから。

 バーのカウンターに並んで座る私たち。響さんはさっとカクテルを作って、ミャオちゃんにはオレンジジュースを出してくれた。

 一心さんはスーツのジャケットを脱いでネクタイをゆるめたのだが、それがまたかっこいい。響さんもベスト姿になって、普段のバーテン服の色違いといった感じだ。

「はー。今日の結婚式、素敵でしたね。四葉さんもすごくキレイだったし」
「ん。ケーキも、おいしかった」

 ミャオちゃんは、私や一心さんがそばについていなくても、勝手にケーキを取って黙々と食べていた。私のそばを離れなかった芋煮会と比べるとすごい進歩だが、少しだけさびしい気持ちもある。

 でも、満足そうなミャオちゃんを見ていると、そんな自分勝手な感傷もすうっと消えていった。

 それからしばらく結婚式の感想を言い合っていたのだが、ミャオちゃんが突然、

「一心のごはんが食べたい」

 と言い出した。

「結婚式でたくさん食べたでしょ。もうお腹すいちゃったの?」

 響さんがとりなすように言う。

「すいた。ぺこぺこ。一心のオムライスが食べたい」

 でもミャオちゃんは、引く様子がない。
 私はまだ平気だけど、ミャオちゃんは成長期だから早くお腹がすくのだろうか。

 ミャオちゃんにじいっと見つめられていた一心さんは、根負けしたようにため息をついた。