相変わらず一心さんに注目が集まっているが。女性たちの視線は、さっきまでとは違って熱気と興奮をはらんでいる……ように感じる。どうしてだろう。

「響さん、なんだかみんな、様子がおかしくありませんか?」

 その様子に半分おびえながらたずねると、響さんは眉をぎゅんっとつり上げて私の肩を揺さぶった。

「あんた、花嫁のブーケの意味わかってるの? 受け取った人は次に結婚するって言われてるのよ」
「は、はい。聞いたことはありますけど……」

 だからみんな、ブーケを受け取ろうと必死だったのだろう。それはわかっているけれど……。

 響さんは、額を押さえてため息をついた。

「……なんでこんなにあたしが苦労しなきゃいけないのかしら。絶対間違ってる」
「響さん?」
「おむすびも一心ちゃんも、にぶすぎ。それを男から女に渡すって意味、ちょっとは自分たち考えなさいよ!」

 びしっ! と人差し指をつきつけたあと、響さんは大股歩きでミャオちゃんのもとに行ってしまう。

「……なんで響は怒っているんだ?」
「さ、さあ……。わかりません」

 残された私と一心さんは、首をかしげるしかなかった。