「すごいわね。あのシュークリーム、小さいとはいえ百個以上あるわよ」
「積み上げられる強度ということは、ひとつひとつ飴がけもしてあるだろうな。すごい手間だ」

 ビュッフェのスイーツも四葉さんが作ったのに、このクロカンブッシュも? 四葉さんもしかして、何日も寝ていないのでは? と心配していたら……。

「実はこのクロカンブッシュは、製菓学校時代の友人たちが作ってくれました。あちらに並んであるスイーツも、その友人たちが手伝ってくれて……。彼女たちがいなければ、このガーデンウエディングは実現しませんでした。この場でお礼を言わせてください」

 四葉さんに手招きされた三人の女性たちが、照れながらも新婦の隣に並び、拍手を贈られる。私も、全力で拍手をした。製菓学校時代の友人ということは、みなさんパティシエなのだろうか。新婦もプロで、手伝ったお友達もプロ。そんなメンバーが愛とお祝いの気持ちをめいっぱい込めて作ったスイーツなんて、おいしくないわけがない。

そんなスイーツたちをいただけるなんて光栄すぎるし、心して食べなければ、と気合いを入れる。今日のために、前々から胃腸の調子を整えてきたのだ。食い意地が張ってる、と言われてもかまわない。そんなことより、四葉さんのスイーツを何種類食べられるかのほうが大事だ。

 隣にいるミャオちゃんから、きゅるるるる……というかわいらしいお腹の音が聞こえた。ミャオちゃんはちらっとこっちを見たけれど、気づかなかったふりをしてあげる。

 ミャオちゃんは、ケーキが楽しみすぎて昨日の夜からごはんを抜いているそうだ。『残ると悲しいから、おむすびちゃんもミャオちゃんもたくさん食べてね』と四葉さんに頼まれたら、全力を出さないわけにはいかない。