バラのアーチを通ってガーデンに歩いてくる新郎新婦を、私たちは拍手で迎えた。近くを通ったとき、四葉さんがこちらに手を振ってくれる。すらっとした長身を包み込む、シフォン素材のエンパイアドレスと、ショートカットの髪に飾られた白一色の花冠。すっと落ちるようなシルエットのドレスは、四葉さんが歩くたびに裾が羽衣のように揺れる。

 シンプルでナチュラルな花嫁スタイルが四葉さんに似合っていて、まるで女神さまみたいにキレイで、すでに目頭が熱くなってきた。

 ふたりは中央にある、バラがリボンで飾りつけられたマイクまで進んで、そこで目配せし合って足を止めた。柚人さんが、一歩前に出てマイクと向かい合う。

「このたびは」

 柚人さんの声が、ガーデンに響き渡る。柔らかで優しい声の柚人さんだけど、今日は緊張しているのか少し声が硬い。それでも笑顔を保っているのは、緊張よりもうれしさが勝っているからなのだろう。柚人さんを見守る四葉さんもにこにこだ。

「私たちの結婚式に足を運んでくださり、本当にありがとうございます。ささやかですが、軽食と、新婦四葉の作ったスイーツを用意しました。楽しんでいただけたらうれしいです」

 その挨拶を合図に、おそろいのボーイ服を着た係の人たちが食べ物を運んでくる。端に置かれたいくつもの長テーブルにはオードブルやケーキが並び、中央の丸テーブルにはツリー型の大きなお菓子が置かれた。よく見ると、小さなシュークリームが積み上げられている。

「これは、クロカンブッシュというお菓子です。みんなで食べられるものを、と思ってウエディングケーキの代わりに用意しました。ひとつひとつがクリーム入りのシュークリームになっていて、クリームの味もいろいろあります。ぜひ、つまんでください」

 今度は四葉さんが、そのお菓子を説明してくれた。