「ありがとうございます。ドレスは店員さんに選んでもらって……。ヘアアレンジとメイクは、美容院でやってもらいました」

 裾と袖がひらひらしているペールグリーンの半袖ドレスにパールのカチューシャをつけて、低めの位置で編み込みを加えたお団子にまとめている。昼からのガーデンウエディングと伝えて、華やかすぎない装いを選んでもらった。

 メイクは、いつも自分でしているナチュラルメイクよりも派手に見えないのに、明らかに顔が違うのがすごい。メイク担当の美容師さんはハイライトやシェーディングを駆使していて、どんどん変わっていく自分の顔にびっくりしながら鏡を見つめていた。

「あんた、ポテンシャルは高かったのねえ。今日のメイク覚えて、自分でも実践しなさいよ」
「が、がんばります」

 上から下までプロに整えてもらったのだから、そう変なことにはならないだろうとは思っていたけれど、こんなに響さんに褒められるなんて予想外だ。というか、響さんこそ芸能人にスタイリストがつきました、くらいの美形オーラを放っていてまぶしいのだが。

 ミャオちゃんも、水色のパフスリーブのワンピースを着て、ボブの毛先もちょっと巻いている。高校生だからメイクはマスカラとリップくらいだけど、それだけでもいつもと雰囲気がだいぶ違う。

 ――そして、今日会ったときから私が直視できないのは、一心さんだ。

 ちら、と横に立つ一心さんを見上げると、目が合った。

「どうした? おむすび」
「な、なんでもないです」

 どぎまぎしながら目を逸らす。一心さんのスーツ姿がこんなにかっこいいなんて、反則だ。