「そうだね。私たちのぶんと、あとは、一心さんと響さん、四葉さんとミャオちゃんの叔母さんのぶんも買って……っと」

 チョコ菓子をごっそりとコンビニのカゴに入れていく。足りなかったらもう一軒コンビニをまわるつもりだったけれど、大丈夫そうだ。

「あと、もういっこ」
「え? あとだれか、頼まれてた人いたっけ?」
「……明日食べるぶん」

 ミャオちゃんは。今日中に一箱食べきる予定らしい。

「じゃあ、これでオッケーかな。お会計してくるね」

 レインブーツをはいたミャオちゃんと、まごころ通り目指して小雨の中を歩く。昼間の雨は少しだけ憂鬱だけど、ミャオちゃんと雑貨屋さんで買ったおそろいの傘が気持ちを上げてくれる。水玉模様の傘は、ミャオちゃんがピンクで私が水色だ。

「おむすび。最初に四葉のところに行こう」

 水たまりにも躊躇なくツッコみながら、ミャオちゃんが私の前を先導する。

「そうだね。ほんとにお店に並んでるのかどうか、心配してたもんね」

 四葉さんは、先にサンプルを柚人さんにもらっていたにも関わらず、『ほんとにコンビニに並んでいるのかな? どこにも入荷していなかったらどうしよう』と心配していた。柚人さんがあんなに一生懸命になって力を注いでいた新商品だから、柚人さんと同じくらい〝たくさんのお店に並んでほしい〟〝たくさんの人に食べてほしい〟と強く思っているのだろう。

 白を基調としたパリっぽい外観の『SWEET Clover』の扉を開けると、ショーケースの向こうで接客していた四葉さんが気づいてくれた。
 イートインスペースになっている、アンティーク風のテーブルと椅子に座り、店員さんに紅茶とケーキをふたりぶん注文して四葉さんを待つ。