「実は僕……、いえ、あたし、オネエなんです。白州さんに引かれるのが嫌で、最初に会ったときからバレないように演技をしていて……。でもさっきの白州さんの話を聞いて、この人だったら自分のパーソナリティを打ち明けても差別したりしないってわかったから、打ち明けようと思ったんです」

 ついに、言った! 拍手をしたかったけれど、心の中だけでとどめておく。
 白州さんは、どんな反応をするだろう。ドキドキしながら視線を向けると、白州さんは「ああ!」と手をぽんと叩いて笑顔を見せていた。

「そのことですか! 実はなんとなくわかってました。酒井さんがオネエなんじゃないかってこと」
「えっ」

 驚きの声が、私と一心さんと響さんの、三人ぶん重なった。

「たまに口調がオネエに戻っていたり、内股で歩いていたり……。あと、好きな芸能人の話になったときも、似たタイプの年上の男性ばかりあげていたし」
「えっ、そ、そうだったかしら……?」

 予想外の展開に、響さんは目を白黒させている。

「そういうところからなんとなく。ただ、隠しているってことは俺に知られたくないのかなと思って、黙っていたんです。だからうれしいですよ、今日、信頼して話してくれたことが」
「白州さん……」

すっかり素に戻った響さんの瞳が、うるうるしている。

 白州さんが予想通り、いやそれ以上に大きい器を持った人だったこと、私もうれしい。でも響さんのこの態度は、大丈夫なのだろうか。『大好き』オーラが全身から出ているし、さすがに白州さん本人にもバレてしまうのでは……。