「一心さん。どうして〝おまかせ〟を頼めば白州さんの人間性がわかるんですか?」
響さんが帰ったあと、私は疑問を一心さんにぶつけてみた。一心さんは私にたずねられるのがわかっていたかのように、丁寧に言葉を選びながら説明する。
「好きな食べ物や、思い出の料理――そこにはその人の人生が関わってくるだろう? 話を聞いて、出した料理を食べてもらえば、お客さまの人となりは見えてくるものなんだ。おむすび、今までのお客さまを思い出してみろ」
そう言われて、この一年で〝おまかせ〟を頼んだお客さまを思い浮かべてみる。司さんのおじさん、夏川先生。橘さん親子や四葉さんの婚約者の柚人さんだって、思い出の料理のエピソードを聞くだけで、その人の人生を覗かせてもらっている気持ちになれた。どんな思い出を大切にしているかで、その人の人間性だって、わかったような気がした。
「確かに……、今までもそうでした」
「あとは、どう白州さんの話を引き出すかと、響の気持ち次第だな」
「私も、一心さんのサポートをがんばります」
私に一心さんのような洞察力や推理力はないが、お客さまとの会話は好きだし、役にたてることがあるかも。
「期待している」
以前のように頭をぽんと叩いてはくれないけれど、一心さんは柔らかい笑みを見せてくれる。私はしっかりとうなずいて、来たる日のために気合いを入れた。
響さんが帰ったあと、私は疑問を一心さんにぶつけてみた。一心さんは私にたずねられるのがわかっていたかのように、丁寧に言葉を選びながら説明する。
「好きな食べ物や、思い出の料理――そこにはその人の人生が関わってくるだろう? 話を聞いて、出した料理を食べてもらえば、お客さまの人となりは見えてくるものなんだ。おむすび、今までのお客さまを思い出してみろ」
そう言われて、この一年で〝おまかせ〟を頼んだお客さまを思い浮かべてみる。司さんのおじさん、夏川先生。橘さん親子や四葉さんの婚約者の柚人さんだって、思い出の料理のエピソードを聞くだけで、その人の人生を覗かせてもらっている気持ちになれた。どんな思い出を大切にしているかで、その人の人間性だって、わかったような気がした。
「確かに……、今までもそうでした」
「あとは、どう白州さんの話を引き出すかと、響の気持ち次第だな」
「私も、一心さんのサポートをがんばります」
私に一心さんのような洞察力や推理力はないが、お客さまとの会話は好きだし、役にたてることがあるかも。
「期待している」
以前のように頭をぽんと叩いてはくれないけれど、一心さんは柔らかい笑みを見せてくれる。私はしっかりとうなずいて、来たる日のために気合いを入れた。