私より人生経験が多く、つらいことも悲しいことも何倍も経験してきたであろう響さんに、私がかけられる言葉なんてあるのだろうか。『そんなことない、がんばれ』と言うのは簡単だけど、それで響さんが傷つく結果になったらと思うと、どうしたらいいのかわからない。
でも、一心さんは――。
「そんなことで引くような男を、響が好きになるとは思えない。俺は響の判断を疑ったことはないから、そう思える」
私が心配していることなんて吹き飛ぶような答えを出していた。軽い励ましの言葉よりも、重い共感の言葉よりもずっと、愛情と信頼のこもった答えを。
「響は白州さんを、そういう人間だと思うのか?」
「思わないわよ! でも……。どうすればいいか、わからないのよ。隠したままお客として付き合い続けるのもつらいし、本当の自分を見せるのも怖いのよ!」
絞り出すような声で叫んで、頭を抱えて震えている。こんな響さんの姿を見るのは初めてだった。胸が痛くて、響さんが迷子の子猫のように思えて、私が母猫だったら響さんを抱きしめてあげられるのに、って思った。
「ならば、こころ食堂に連れてくればいい。俺が見極めてやる。白州さんが、響の本当の姿を知っても受け入れてくれる人間なのかどうか」
一心さんは響さんの叫びにも動じず、迷いのない眼差しでそう提案した。
「そ、そんなこと、わかるの?」
「〝おまかせ〟を頼んでくれれば、おのずとな」
響さんは納得していないようだったけれど、白州さんを誘うことを了承してくれた。
でも、一心さんは――。
「そんなことで引くような男を、響が好きになるとは思えない。俺は響の判断を疑ったことはないから、そう思える」
私が心配していることなんて吹き飛ぶような答えを出していた。軽い励ましの言葉よりも、重い共感の言葉よりもずっと、愛情と信頼のこもった答えを。
「響は白州さんを、そういう人間だと思うのか?」
「思わないわよ! でも……。どうすればいいか、わからないのよ。隠したままお客として付き合い続けるのもつらいし、本当の自分を見せるのも怖いのよ!」
絞り出すような声で叫んで、頭を抱えて震えている。こんな響さんの姿を見るのは初めてだった。胸が痛くて、響さんが迷子の子猫のように思えて、私が母猫だったら響さんを抱きしめてあげられるのに、って思った。
「ならば、こころ食堂に連れてくればいい。俺が見極めてやる。白州さんが、響の本当の姿を知っても受け入れてくれる人間なのかどうか」
一心さんは響さんの叫びにも動じず、迷いのない眼差しでそう提案した。
「そ、そんなこと、わかるの?」
「〝おまかせ〟を頼んでくれれば、おのずとな」
響さんは納得していないようだったけれど、白州さんを誘うことを了承してくれた。