「たくまくんの今日のお洋服、かっこいいね。お母さんと選んだのかな?」
「うん、そうだよ」

 たくまくんの着ている服は、春っぽいパステルカラーのチェックのシャツと、ベージュのパンツ、薄手のパーカー。大人でも着られそうなデザインで、センスがいい。

「わあ、オシャレだね。じゃあ、お母さんのお洋服は、どんな感じだったの?」
「えっとねー……」

 白いブラウスに黒いパンツ、髪の毛はひとつにまとめて大きいバッグを持っていた、と聞いて、お祭りに来るのになんだか仕事着みたいな格好だな、と違和感を覚える。たくまくんの服は明るい色味のカジュアル系なのに。

 でも、ブラウスとパンツといってもいろいろ種類があるし、カジュアルなデザインだったのかもしれない。

 おしゃべりして喉がかわいたのか、たくまくんはオレンジジュースを飲みほす。その様子を見つめながら考え込んでいたミャオちゃんが、猫のように大きなアーモンド型の瞳を私に向けた。

「おむすび。猫に頼めばすぐ捜せるかもしれない」
「えっ、そんなことできるの!?」

 ミャオちゃんの言葉に、声が裏返ってしまった。確かに以前、ミャオちゃんは猫をけしかけて、絡まれている私を助けてくれたことがある。でも、人捜しまでできるなんて。

「うん。猫ネットワークがある。猫同士で会話して、情報を共有できる」

 驚く私に、ミャオちゃんは得意げに説明してくれる。声のトーンは変わらないけれど、鼻の穴がふくらむのでわかるのだ。

「猫ネットワーク……。すごいんだね」

 猫を使った人海戦術ができるってことだよね。機動力の高い猫たちでそんなことができるなんてすごく頼もしい。そういえばこの公園では猫をよく見かけた。近所で飼っている家が多いのだろうか。

「近くにいた猫に、頼んできてみる」

 そう言ってミャオちゃんは、ふわりと屋台の外に出ていった。近所に散歩に出かける猫みたいな身軽さで。