* * *
それから、数日後。関係の変わった私と一心さんだけど、お店ではいつも通り。ちょっと変化があったといえば、仕事が終わったあとにメールや電話をするようになったことと、一心さんが前のように頭をなでてくれるようになったこと。
時間が経つうちに、こんな私たちも変化していくのだろうか。今はそれが楽しみだ。
おやっさんからは、手術の日程が決まったと一心さんに連絡があったらしい。
たくさんあった不安は、今は全部喜びの種に。きっと明日世界が終わっても私は後悔しないけれど、どうかこの幸せな日々が、末永く続きますように。
「一心さん、ちょっといいですか」
閉店時間少し前に、厨房にいる一心さんに声をかける。
「ああ。どうした?」
手を止めて答えてくれる一心さんの表情と声は、心なしか前より柔らかい。
「あの、閉店したあと、作りたいものがあって……。厨房を使わせてもらってもいいでしょうか」
「珍しいな。もちろん、大丈夫だ」
一心さんは、驚きながらもうなずいてくれる。
一心さんに食べてほしくて、告白したあの日から練習していた料理があるのだ。やっと昨夜、思う通りの味が出せるようになった。
閉店作業が終わったあと、私は一心さんが後片付けしている厨房に入って、料理を開始する。炊飯器の中にはまだ、少しご飯があった。
「一心さん、残ってるご飯、使ってもいいですか?」
「かまわない。ほかに必要なものがあれば、冷蔵庫から取っていい」
「ありがとうございます」
ほかに必要なものは、お味噌とみりんだけだ。
私はほかほかのご飯を三角に握り、フライパンで焼く。表面に味噌を塗ると、香ばしい匂いが漂った。
それから、数日後。関係の変わった私と一心さんだけど、お店ではいつも通り。ちょっと変化があったといえば、仕事が終わったあとにメールや電話をするようになったことと、一心さんが前のように頭をなでてくれるようになったこと。
時間が経つうちに、こんな私たちも変化していくのだろうか。今はそれが楽しみだ。
おやっさんからは、手術の日程が決まったと一心さんに連絡があったらしい。
たくさんあった不安は、今は全部喜びの種に。きっと明日世界が終わっても私は後悔しないけれど、どうかこの幸せな日々が、末永く続きますように。
「一心さん、ちょっといいですか」
閉店時間少し前に、厨房にいる一心さんに声をかける。
「ああ。どうした?」
手を止めて答えてくれる一心さんの表情と声は、心なしか前より柔らかい。
「あの、閉店したあと、作りたいものがあって……。厨房を使わせてもらってもいいでしょうか」
「珍しいな。もちろん、大丈夫だ」
一心さんは、驚きながらもうなずいてくれる。
一心さんに食べてほしくて、告白したあの日から練習していた料理があるのだ。やっと昨夜、思う通りの味が出せるようになった。
閉店作業が終わったあと、私は一心さんが後片付けしている厨房に入って、料理を開始する。炊飯器の中にはまだ、少しご飯があった。
「一心さん、残ってるご飯、使ってもいいですか?」
「かまわない。ほかに必要なものがあれば、冷蔵庫から取っていい」
「ありがとうございます」
ほかに必要なものは、お味噌とみりんだけだ。
私はほかほかのご飯を三角に握り、フライパンで焼く。表面に味噌を塗ると、香ばしい匂いが漂った。