「おむすび」
「は、はい」

 思わず、返事をしてしまった。視線が、ぶつかる。一心さんのキレイな瞳から、目が離せない。

「これからも、俺のそばにいてくれないか。その……生きている間、ずっと」
「――えっ?」

 私は一瞬、言われたことが飲み込めなかった。
 一心さんは、耳を赤くして私の様子をうかがっている。
 これは……、もしかして、告白?

「ちょっと一心ちゃん! それって告白飛び越えてプロポーズじゃないのっ!」

 私の顔がぶわっと熱くなった瞬間、響さんとミャオちゃんが店の陰から飛び出してきた。

「ひ、響さん、ミャオちゃん! な、なんでここに……」
「響のせいで、見つかった。特殊ミッション、だったのに」

 ミャオちゃんがむっとした顔で響さんを見上げる。

「あまりの展開に、つい……」

 もしかして、見られていた? いつから?
 ふたりはそそくさと、また店の陰に身体を隠して頭だけ出した。

「あたしたちのことはいいから、おむすび、あんたも伝えなさい!」

 響さんの言葉にハッとして一心さんを見ると、放心したようにふたりを見ていた。

「おむすび、がんばれ」

 ミャオちゃんも、エールを送ってくれる。よく見れば、ミャオちゃんの足下に豆大福もいた。

 そうだ。私がずっと、思っていたこと。一心さんも同じ気持ちだってわかった今、ちゃんと言葉で伝えなきゃ。

「私も、同じことを言おうと思っていたんです。ずっと前から、一心さんのことが好きです。一生、そばにいてください」

 足下がふわふわしたような、心臓がドキドキして身体が熱いのに、夢を見ている気持ちのまま、一気に伝える。

「……本当、か?」

 一心さんは、目をみはっていた。私の気持ちに、本当に気づいていなかったんだなと思いながら、ぶんぶんと首を振る。