「それなら、店が定休日の日にふたりでおやっさんに付き合えそうだな」
「でも、若い女の子の休みを奪うのもなあ……。結さんは、彼氏なんかはいないのかい?」
急にそんなことをたずねられて、顔が熱くなる。
「ぜ、全然いません! なので気にしなくて大丈夫です!」
顔の前で手のひらをぶんぶんと降ったけれど、必死すぎて不自然だったかもしれない。
「そ、そうかい? だったらお願いしようかねえ。もちろん、ふたりともに用事がない日だけでいいからね」
「俺はめったに用事はないから大丈夫だ」
「あ、私もです」
おやっさんのうれしそうな顔を見ながら、ふたりの一年以上のブランクが埋まりそうでよかった、と胸をなでおろす。自分が楽しみなのはもちろんだけど、少しでもおやっさんの役に立てたらいいな。
* * *
「それって、デートじゃない!」
さっそく次の定休日におやっさんに付き合うことになり、その前日。響さんのバーに寄って事情を話すと、わなわなと唇を震わせていた。
「一心ちゃんと毎週デートに行けるってことなのよ! しかも、こっちは頼まれてるほうだから自然に! あんた、この重大さ、わかってる?」
「えっ………。で、でも、おやっさんも一緒なんですよ? ふたりきりじゃないんですから、デートではないんじゃ……」
一心さんと一緒に出かけるのか、と思ったら一瞬ドキッとしたけれど、今回はおやっさんの行きたい店に付き合う、というのが目的だし、付き添いという感覚で行けばいいやと思っていたのだけど……。
「おやっさんがいることは、この際いったん脇に置いておきましょ」
「ええっ」
置いておくには、おやっさんは存在感がありすぎると思うのだが。
「ふたりでどこか行く、ってことが重要なのよ。しかも毎週違う店に行くんでしょう? いつもとは違う新鮮な雰囲気になるじゃない!」
「な、なるほど」
一心さんと一緒にお店の外に出かけたことは数えるほどしかない。それが毎週やってくるというのだから、よく考えればすごく重大なことだった。
「ど、どうしましょう。今さら緊張してきました」
表情を硬くした私に、響さんはため息をついてから、バーカウンターに両手をばんっ!と置いた。
そして、顔を座っている私にずいっと近づける。目が真剣すぎて怖い。
「でも、若い女の子の休みを奪うのもなあ……。結さんは、彼氏なんかはいないのかい?」
急にそんなことをたずねられて、顔が熱くなる。
「ぜ、全然いません! なので気にしなくて大丈夫です!」
顔の前で手のひらをぶんぶんと降ったけれど、必死すぎて不自然だったかもしれない。
「そ、そうかい? だったらお願いしようかねえ。もちろん、ふたりともに用事がない日だけでいいからね」
「俺はめったに用事はないから大丈夫だ」
「あ、私もです」
おやっさんのうれしそうな顔を見ながら、ふたりの一年以上のブランクが埋まりそうでよかった、と胸をなでおろす。自分が楽しみなのはもちろんだけど、少しでもおやっさんの役に立てたらいいな。
* * *
「それって、デートじゃない!」
さっそく次の定休日におやっさんに付き合うことになり、その前日。響さんのバーに寄って事情を話すと、わなわなと唇を震わせていた。
「一心ちゃんと毎週デートに行けるってことなのよ! しかも、こっちは頼まれてるほうだから自然に! あんた、この重大さ、わかってる?」
「えっ………。で、でも、おやっさんも一緒なんですよ? ふたりきりじゃないんですから、デートではないんじゃ……」
一心さんと一緒に出かけるのか、と思ったら一瞬ドキッとしたけれど、今回はおやっさんの行きたい店に付き合う、というのが目的だし、付き添いという感覚で行けばいいやと思っていたのだけど……。
「おやっさんがいることは、この際いったん脇に置いておきましょ」
「ええっ」
置いておくには、おやっさんは存在感がありすぎると思うのだが。
「ふたりでどこか行く、ってことが重要なのよ。しかも毎週違う店に行くんでしょう? いつもとは違う新鮮な雰囲気になるじゃない!」
「な、なるほど」
一心さんと一緒にお店の外に出かけたことは数えるほどしかない。それが毎週やってくるというのだから、よく考えればすごく重大なことだった。
「ど、どうしましょう。今さら緊張してきました」
表情を硬くした私に、響さんはため息をついてから、バーカウンターに両手をばんっ!と置いた。
そして、顔を座っている私にずいっと近づける。目が真剣すぎて怖い。