「あいつはこういうイベントは得意そうだからな。人手は多いほうがいい」
「ふたりだと、休憩も取れませんもんね。……あ、そういえば、ミャオちゃんも屋台のお手伝いをしたいって言ってました。昨日メールしたんです」
「それはありがたいな。……でも、声は大丈夫なのか? まだ万全ではないだろう?」
ミャオちゃん――宮尾優ちゃんは、通信制高校に通っている高校生だ。猫と意思疎通できる女の子で、以前は過去のトラウマで声が出せなかったのだが、離れて暮らしているお母さんとの仲が解決したことで徐々に話せるようになってきたのだ。
声を出していなかった期間が長いので喉の使い方の感覚がまだつかめないらしく、会話中に咳き込んだり声がかすれたりすることがある。なので、携帯電話による筆談と合わせて、会話の練習をしている。
「ミャオちゃんも、いろんなお客さまと接することがトレーニングになると思っているみたいで。がんばる、ってはりきっていましたよ」
「そうか。それならよかった」
細めた瞳にミャオちゃんへの愛情が見てとれて、先ほどの心配は『ミャオちゃんがちゃんと手伝いをできるのか』ではなくミャオちゃんの体調を気遣ってのことだとわかった。そして、なにかあった場合ミャオちゃんが傷つくのではないか、ということも先回りして心配しているのだろう。一心さんは、そういう人だから。
「できるだけ俺も、ミャオのフォローをする。おむすびも、よろしく頼む」
「はい。でも、ミャオちゃんは最近、すごくたくましくなったんですよ。妹みたいだったのに、今では頼もしいくらいです」
「そうか。すごいな、ミャオは」
私にとっても一心さんにとっても、そして響さんにとっても、ミャオちゃんは歳の離れた大切な友達だ。
「みんなで一緒に屋台、楽しみですね」
「ああ。楽しみだな」
柔らかい表情で返されたその言葉に、ほこほこと胸が温かくなり、頬がゆるんでくるのを我慢するのが大変だった。
「ふたりだと、休憩も取れませんもんね。……あ、そういえば、ミャオちゃんも屋台のお手伝いをしたいって言ってました。昨日メールしたんです」
「それはありがたいな。……でも、声は大丈夫なのか? まだ万全ではないだろう?」
ミャオちゃん――宮尾優ちゃんは、通信制高校に通っている高校生だ。猫と意思疎通できる女の子で、以前は過去のトラウマで声が出せなかったのだが、離れて暮らしているお母さんとの仲が解決したことで徐々に話せるようになってきたのだ。
声を出していなかった期間が長いので喉の使い方の感覚がまだつかめないらしく、会話中に咳き込んだり声がかすれたりすることがある。なので、携帯電話による筆談と合わせて、会話の練習をしている。
「ミャオちゃんも、いろんなお客さまと接することがトレーニングになると思っているみたいで。がんばる、ってはりきっていましたよ」
「そうか。それならよかった」
細めた瞳にミャオちゃんへの愛情が見てとれて、先ほどの心配は『ミャオちゃんがちゃんと手伝いをできるのか』ではなくミャオちゃんの体調を気遣ってのことだとわかった。そして、なにかあった場合ミャオちゃんが傷つくのではないか、ということも先回りして心配しているのだろう。一心さんは、そういう人だから。
「できるだけ俺も、ミャオのフォローをする。おむすびも、よろしく頼む」
「はい。でも、ミャオちゃんは最近、すごくたくましくなったんですよ。妹みたいだったのに、今では頼もしいくらいです」
「そうか。すごいな、ミャオは」
私にとっても一心さんにとっても、そして響さんにとっても、ミャオちゃんは歳の離れた大切な友達だ。
「みんなで一緒に屋台、楽しみですね」
「ああ。楽しみだな」
柔らかい表情で返されたその言葉に、ほこほこと胸が温かくなり、頬がゆるんでくるのを我慢するのが大変だった。