そうして、一週間の休みを母との時間にたっぷり使った私は、こころ食堂に復帰した。ピンチヒッターをつとめてくれた大場さんには、昨日のうちにお礼の電話をしてある。今度の休みに、四葉さんのお店のケーキを持っていく予定だ。

「おはようございます」
「おはよう」

 厨房に入ると、一心さんがこちらを向いて返事をしてくれる。久しぶりに会ったせいか、少しだけドキドキしてしまう。一週間で変わるはずないのに、『一心さんってこんなにかっこよかったっけ』と感じてしまう私は重症なのかも。

「一心さん、お休みありがとうございました。おかげで、母とたくさん時間を過ごせました」
「そうか。よかった」

 一心さんも、なんだか笑顔が硬い。もしかして、一心さんも私に会うのが久しぶりで緊張している? なんて、まさかね。

「おむすび。おばあさんのカレーがハヤシライスだった件は、うまくいったのか?」

 一心さんが、洗った手を手ぬぐいで拭きながら、たずねる。
 そうだった。直接報告したくて、メールには書かなかったのだ。

「実はですね……」

 カレーと同じ具を入れていたから、母がハヤシライスだと気づかなかった話をすると、一心さんは感心していた。

「なるほど……そういう工夫は思いつかなかったな」 
「一心さんのおかげで、母に思い出の料理を作ってあげることができました。相談にのってくださって、ありがとうございます」