そして、翌々日の水曜日。アイドルタイムの長い休憩時間を利用して、私と一心さんは従業員用の休憩室でミーティングをしていた。〝春らしく、ほかの屋台とかぶらないものを〟ということで、ちらし寿司とお吸い物のセット、甘味メニューとして桜餅を提供することに決まった。
「ちらし寿司は、透明なパックに入れて提供することになると思うが、味気ないな。かと言って重箱に詰めても返しにくるのが面倒だろう」
「そうですね……」
屋台だと、器が〝その場で捨てられるもの〟に限定されるのが難しい。なんとか、使い捨ての容器でもちらし寿司を見栄えよくできないだろうか。こんなとき、パティシエである四葉さんがいてくれたら、いいアドバイスをくれそうなんだけど……。四葉さんのケーキは花言葉シリーズがあったり、見た目の美しさも評判だ。
そのとき、ケーキという言葉に引きずられて脳内に浮かんだ、ちらし寿司のテレビコマーシャルがあった。そうだ。確か、ちらし寿司ケーキという料理があったはず。
「一心さん!」
私が勢いよく顔を上げると、一心さんは期待のこもった眼差しでこちらを見ていた。
「なにか、思いついたか?」
「はい。テレビで見たんですけど、ちらし寿司の具を利用して層にして、ケーキみたいに作るやり方があって……。それを、大きめのプリンカップみたいな高さのある器に入れるのはどうかなって。カップに入ったティラミスみたいなイメージなんですけど……。ええと、こんな感じで」
手元にあった紙に、絵を描いて説明する。拙いイラストだったけれど、一心さんは真剣な様子で相づちを打ってくれた。
「なるほど、器が透明なことを逆手に取ったのか。見栄えがいいだけじゃなくて食べやすそうだから屋台に適しているな。おむすび、よく思いついたな」
「ありがとうございます。最近、四葉さんのお店でカップスイーツを買ったので、それが頭に残っていたのかも」
「そうか。でもこれでメニューが決まったから、響のほうでもカクテルの種類を考えやすいかもしれないな。すぐに連絡しておく」
響さんのバーと合同店舗にする件は、『その発想はなかった』と目から鱗の様子で了承してくれた。
「ちらし寿司は、透明なパックに入れて提供することになると思うが、味気ないな。かと言って重箱に詰めても返しにくるのが面倒だろう」
「そうですね……」
屋台だと、器が〝その場で捨てられるもの〟に限定されるのが難しい。なんとか、使い捨ての容器でもちらし寿司を見栄えよくできないだろうか。こんなとき、パティシエである四葉さんがいてくれたら、いいアドバイスをくれそうなんだけど……。四葉さんのケーキは花言葉シリーズがあったり、見た目の美しさも評判だ。
そのとき、ケーキという言葉に引きずられて脳内に浮かんだ、ちらし寿司のテレビコマーシャルがあった。そうだ。確か、ちらし寿司ケーキという料理があったはず。
「一心さん!」
私が勢いよく顔を上げると、一心さんは期待のこもった眼差しでこちらを見ていた。
「なにか、思いついたか?」
「はい。テレビで見たんですけど、ちらし寿司の具を利用して層にして、ケーキみたいに作るやり方があって……。それを、大きめのプリンカップみたいな高さのある器に入れるのはどうかなって。カップに入ったティラミスみたいなイメージなんですけど……。ええと、こんな感じで」
手元にあった紙に、絵を描いて説明する。拙いイラストだったけれど、一心さんは真剣な様子で相づちを打ってくれた。
「なるほど、器が透明なことを逆手に取ったのか。見栄えがいいだけじゃなくて食べやすそうだから屋台に適しているな。おむすび、よく思いついたな」
「ありがとうございます。最近、四葉さんのお店でカップスイーツを買ったので、それが頭に残っていたのかも」
「そうか。でもこれでメニューが決まったから、響のほうでもカクテルの種類を考えやすいかもしれないな。すぐに連絡しておく」
響さんのバーと合同店舗にする件は、『その発想はなかった』と目から鱗の様子で了承してくれた。