響さんのカクテルはお料理を邪魔しないおいしさだから、屋台で売るのにも向いてるのにな、と去年のお花見で飲んだカシスオレンジを思い出す。どうにかならないかな、と桜色のカクテルを見ながら考えていると、ふっと簡単な解決法が浮かんできた。
「そうだ、カクテルを作るだけだったら場所を取らないし、合同店舗ってことにしたらどうでしょう。一心さんの料理に合うカクテルやノンアルコールカクテルを、響さんが隣で販売するんです」
前のめりになって伝えると、響さんが興奮しながらワントーン高い声を出した。
「いいわね、それ! おむすびにしちゃいいアイディアじゃない。でも、一心ちゃんが了承するかしら」
「一心さんも初めてのことで不安だと思うので、響さんがいてくれたほうが安心なんじゃないでしょうか。今日聞いた感じだと、屋台の広さは充分ありそうでしたし。響さんは、屋台を出店したことはあるんですか?」
「フード関係のイベントに出店したことはあるわね。何年も前だけど」
それなら、より心強い。
「だったら、響さんが経験者だってことも含めて一心さんに伝えてみますね!」
「頼んだわよ、おむすび。一心ちゃんと一緒に桜まつりなんて、こんな機会でもなきゃ絶対に無理なんだから!」
カウンター越しにがっちりと手を握られて、『響さんはそんなところまで考えていたのか』と驚く。でも確かにこれって、仕事ではあるけれど、一心さんと一緒に桜まつりに行くってことになるんだ。考えたら、お店以外で会えるというだけでも貴重なのだ。
桜まつりがよりいっそう楽しみになってきたけれど、『ダメダメ』と首を横に振る。仕事なんだから、よこしまな考えは捨てなければ。挙動不審な私を、笑みを浮かべた響さんが見透かすような眼差しで見ていた。
「そうだ、カクテルを作るだけだったら場所を取らないし、合同店舗ってことにしたらどうでしょう。一心さんの料理に合うカクテルやノンアルコールカクテルを、響さんが隣で販売するんです」
前のめりになって伝えると、響さんが興奮しながらワントーン高い声を出した。
「いいわね、それ! おむすびにしちゃいいアイディアじゃない。でも、一心ちゃんが了承するかしら」
「一心さんも初めてのことで不安だと思うので、響さんがいてくれたほうが安心なんじゃないでしょうか。今日聞いた感じだと、屋台の広さは充分ありそうでしたし。響さんは、屋台を出店したことはあるんですか?」
「フード関係のイベントに出店したことはあるわね。何年も前だけど」
それなら、より心強い。
「だったら、響さんが経験者だってことも含めて一心さんに伝えてみますね!」
「頼んだわよ、おむすび。一心ちゃんと一緒に桜まつりなんて、こんな機会でもなきゃ絶対に無理なんだから!」
カウンター越しにがっちりと手を握られて、『響さんはそんなところまで考えていたのか』と驚く。でも確かにこれって、仕事ではあるけれど、一心さんと一緒に桜まつりに行くってことになるんだ。考えたら、お店以外で会えるというだけでも貴重なのだ。
桜まつりがよりいっそう楽しみになってきたけれど、『ダメダメ』と首を横に振る。仕事なんだから、よこしまな考えは捨てなければ。挙動不審な私を、笑みを浮かべた響さんが見透かすような眼差しで見ていた。