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『拝啓、あしながおじさん。

 今日は朝から雨です。
 お見舞いに来てくれたさやかちゃんが帰ってから、ブルーな気持ちで外の雨を眺めてたら、看護師さんが病室に、リボンのかかった大きめの白い箱を持って来てくれました。「届いたばかりのお見舞いだ」って。
 箱を開けたら、キレイなピンク色のバラのフラワーボックスで、そこには伝票と同じ個性的な、それでいて人の()さがあらわれてる筆跡で書かれた直筆のメッセージカードが添えてありました。
 わたし、それを読んだ途端、声を上げて泣いちゃいました。このお花が嬉しかったのももちろんありますけど、おじさまを信じられなかった自分を(ののし)りたい気持ちでいっぱいになって。
 おじさまはわたしの手紙、ちゃんと読んで下さってたんですね。返事が頂けなくても、いつもわたしが困った時には助けて下さってるんだもん。
 おじさま、ありがとうございます。そして、ゴメンなさい。もう〝構ってちゃん〟は卒業します。それから、ネガティブになるのもやめます。わたしには似合わないから。
 さやかちゃんが言ってました。おじさまは絶対、わたしの手紙を一通ももれなくファイルしてるはずだって。だからこれからは、ファイルされても恥ずかしくないような手紙を書くつもりです。
 でも、こないだの最低最悪な一通だけは、ファイルしないでシュレッダーにでもかけちゃって下さい。あの手紙は、二度とおじさまの目に触れてほしくないですから。書いてしまったこと自体、わたしの黒歴史になると思うので。
 おじさま、もしかして「女の子は面倒くさい」なんて思ってませんか? では、これで失礼します。

                    三月三日    愛美    』

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 ――翌日、さやかにこの手紙を投函してもらった愛美は、胸のつかえがおりたおかげでみるみるうちに元気になり、その二日後には退院することができた。
 〝(やまい)は気から〟とはよくいったものである。